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【すいなな日誌】夢咲すずはウィンドチャイムが得意だ

私はウィンドチャイムが得意だ。

そもそもウィンドチャイムに得意不得意なんてものはあるのか、わりと誰でもそれっぽく鳴らせる楽器ではあると思うけども、それでも私は胸を張って言う。ウィンドチャイムが得意だ。

 

私が初めてウィンドチャイムに触れたのは中学1年生の秋ごろ。ディズニーの名作『アラジン』の作中で流れる名曲「ホール・ニュー・ワールド」を地域のお祭りで演奏することになり、私はウィンドチャイム担当に割り当てられた。

その時期はいわゆるオフシーズンだったこともあって、1年生の私には他に練習している曲はなかったので私はこのウィンドチャイムを一人黙々とただひたすらに練習し続けた。平日の練習時間は1日3時間ほど。当時の部内では練習時間には曲の練習のみを行うことがルールとなっていて、たとえその曲の出番がウィンドチャイムだけだったとしてもウィンドチャイム以外の楽器、練習パッドすら触ることは許されていなかった。今思えばかなり無駄の多い時間の使い方をしていたような気もするが、そんな長い時間ウィンドチャイムに向き合うことができた結果、私は部内の誰よりもウィンドチャイムを綺麗に鳴らすことができるようになった。

 

そして迎えた演奏の時。私は音楽の織りなす世界観に身を溶かし、その出番を待ち続けた。曲の盛り上がりがピークに達し、目の前に広がる夜空。私は夜空に流れる一筋の流れ星になる。静かに吹き抜ける風のように私の右手の人差し指がウィンドチャイムを吊るす糸に触れる。響き渡るウィンドチャイムの音。私のウィンドチャイムが曲を彩る。

 

「君、ウィンドチャイム上手いね。」

今まで出会った先輩や先生など、とにかくいろんな人に言われてきた。ウィンドチャイムが出てくる曲を演奏するときは毎回私にウィンドチャイムのパートが回ってくるようになり、そのたびに私は曲を彩る風に、流星になり続けた。私はそれが楽しくて、仕方がなかった。もっといろんな曲を彩りたい。音楽の世界に輝く一筋の流星になってもっと多くの人に感動とロマンを届けたい。建前の綺麗事などではなく、私は本気で心からそう思っていた。

 

そして現在。今、私はウィンドチャイムをやっていない。いや、やりたいけどやる機会がないと言った方が正しい。

中学、高校も卒業した私は吹奏楽に関わる機会が無くなってしまい、また一緒に音楽ができるような仲間にも恵まれず、ウィンドチャイムに触れることが無くなってもう2年弱ほどになる。

 

もう一度、流星になりたい。

 

そんな夢を見ながら、今日もパソコンに向かう。外は暗がり、静かな風が吹き抜けていた。それは空を彩る一筋の鐘の音のようだった。


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この記事を書いた人

夢咲すず

吹奏楽七天候のリーダー。パーカッションや音楽制作のほか、ブロガーやライターとしても活動中です!好きな休日の過ごし方は10時間以上寝ること。よろしくお願いします…Zzz

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